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名古屋地方裁判所 平成6年(わ)6号 判決

被告人

氏名

高橋重德

年齢

昭和一八年八月八日生

本籍

長野県下伊那郡天龍村平岡一一八七番地の三

住居

名古屋市瑞穂区関取町一三八番地の三

職業

カラオケスタジオ経営

検察官

樋口勝男

弁護人(私選)

青木俊二

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、名古屋市天白区原二丁目五〇七番地ホワイトキャッスル原一階において、「カラオケスタジオ希林」の名称でカラオケスタジオ経営等の事業を営む者であるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成元年分の実際総所得金額が六三二七万二四〇四円あったのにかかわらず、平成二年三月九日、名古屋市瑞穂区瑞穂町字西藤塚一番地の四所在の所轄昭和税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が七一二万七三五四円で、これに対する所得税額が七二万四八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二六六二万〇五〇〇円と右申告税額との差額二五八九万五七〇〇円を免れ、

第二  平成二年分の実際総所得金額が一億三〇三七万六一二七円あったのにかかわらず、平成三年三月一一日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が五八七万五一四三円で、これに対する所得税額が二七万七二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額五九七三万六五〇〇円と右申告税額との差額五九四五万九三〇〇円を免れ、

第三  平成三年分の実際総所得金額が七四七一万二〇三二円あったのにかかわらず、平成四年三月一一日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が四五〇万四二四七円で、これに対する所得税額が一三万〇八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額三一八五万三〇〇〇円と右申告税額との差額三一七二万二二〇〇円を免れた。

(証拠)

(括弧内の甲乙の番号は検察官の請求番号の略)

全部の事実について

1  被告人の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書、上申書(乙3)

2  査察官調査書(五通、甲5ないし7、甲9、甲10)

第二、第三の各事実について

3  査察官調査書(二通、甲8、甲11)

4  上申書(乙2)

第一の事実について

5  証明書(甲2)

6  査察官調査書(甲12)

7  脱税額計算書(甲14)

第二の事実について

8  証明書(甲3)

9  脱税額計算書(甲15)

第三の事実について

10  証明書(甲4)

11  査察官調査書(甲13)

12  脱税額計算書(甲16)

(法令の適用)

1  罰条

第一ないし第三の各行為につきいずれも所得税法二三八条一項、二項

2  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑を選択

3  併合罪の処理

刑法四五条前段懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき同法四八条二項

4  労役場留置

刑法一八条

5  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

(求刑 懲役一年六月)

(裁判官 久保豊)

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